STORY01 美味しいだけでは満足したくない
自分たちが一番だ、他の人にはできるわけない、と思えるくらい検討を重ねる
「もう全部、試行錯誤でしたね。」
約1年の立ち上げ期間を振り返り、マネージャーの大沼は言う。
「1年って長い感じがするじゃないですか?でも私達がやりたかったのは、お肉が美味しいだけではなくお塩の一粒までトコトンこだわって、最高の接客を行う理想の焼肉屋を作ることでした。だから全然長くありませんでした。」
お店の立地、外観、内装などはミートランド本部が担当。
それ以外の全てを担当したのは、接客業経験者や調理を学んだ者などの4名だった。
ミートランドは飲食店には初参入なので、具体的なノウハウは一切持っていない。
「それこそ、おしぼりをどこから仕入れるか?から始まって、どんなメニューにするか、お肉をどうやって盛り付けるか、お客様をどのようにお迎えするか、集客はどうするのか、など決める事は盛りだくさんでした。」
最初は混乱したが、準備を進めるにつれ、徐々にメンバーの個性も出てきた。
「食器を決めていく時は、今の山形店店長をやっている伊藤のセンスが良かったですねー。寒河江本店店長は、ちょっとチーム内で張り詰めた感じになった時に、ワイワイと崩してくれるムードメーカーでした。」
メンバーの向いている方向は同じだった。
「寒河江市で一番の焼肉屋にしたい。」ということ。
そのために必要なのは、自分達が一番だ、と思えるくらい考え抜いて、試行錯誤することだった。
STORY02 こだわりぬく
「驚きと感動」を感じてもらうためのこだわり
ゼロからの焼肉店立ち上げ。それも、「驚きと感動」を与える焼肉店。
細かい所まで、とことんこだわり抜いた。
メニューを考えるのは楽しかった。試作と試食を何百回もおこなった。
「作っているうちに正解が分からなくなってきて、肉をばーっと高く積み上げた肉タワーみたいのも作ってしまって。これどうすんのー、みたいな(笑)。」
山牛名物の桶盛りは、魚のお刺身が下駄盛りで出てくるのにヒントを得た。
「見た目も華やかですよね。同じお肉でもこんな感じに盛られて出てきたら、ちょっと嬉しくなりませんか?」
塩にもこだわった。
「山形の地産地消にこだわりたかったんです。だから、一般の卸屋さんにお願いせずに、自分で物産館やアンテナショップを回って探しました。お肉をひきたてる塩を探して、数十種類は試しましたね。」
地産地消も、実際に検討をすると様々な問題があった。
「良い野菜なのですが、1年を通して確保するのが難しい場合が多いんです。」
他にも、細かな物品、例えばキッチンで使う袋やラップに始まり、おしぼり業者、焼き網を洗ってもらえる業者などお店で使う品物全ての調達を行った。
更に、生食もメニューにあるので、法的基準のクリアのために保健所とも折衝をする。
「でも、一番大変だったのは接客フローの確立などの『人』に関係する部分でした。」
STORY03 常に先を行くために
驚きと感動を陳腐化させないために。
オープンの日から1年が過ぎる頃までは、試行錯誤の連続だった。
例えば、お客様を席に案内してから、いつオーダーをとって、いつ火を付けて、いつおしぼりを出すか、などの細かい接客オペレーション。
何度もシミュレーションを重ねてオープンに臨んだが、実際に始まると問題が発生したり、良い方法が見つかったり。
「今は当たり前に行っている接客ですが、作り上げる過程は大変でした。」
その大変さを経て感じたことがある。
「人に伝える、というのがどれほど難しいか分かりました。同時に、一人では何もできない、みんなの協力でお店ができているんだな、という事が心にしみました。」
お客様に焼き肉を楽しんでもらう、そのためには、ただお客様に座ってもらって、旨いお肉を出せばいいわけではない。見た目も楽しげな美味しいお肉を食べてもらって、更にお客様と接するスタッフ一人一人がおもてなしと細やかな気遣いができて、初めて「驚きと感動」に近づいていく。
焼肉名匠山牛は、今では寒河江本店と山形店の2店舗になった。
「もっとお客様に喜んでもらえる、良い店にできると思っています。」
と、マネージャーの大沼は言う。
「市場から目利きが美味しいお肉を見極めて仕入れているので、美味しいのは当たり前です。それ以外の接客や桶盛りのような演出も、もっともっと磨いていきたいです。
良いものを作り上げ、まわりのお店にマネをしてもらえるような魅力を、どんどん創り続けていきたいですね。」
「人をおもてなしする接客業は、とても奥が深いです。例えば、お肉をお客様にお出しする時、一言ご説明を添えると喜んでもらえるお客様もいれば、自分なりの楽しみ方を大切にされているお客様もいらっしゃいます。お客様の数ほどおもてなしの種類があります。それが面白いんです。」