STORY01 理想の形を追い求める
名前で呼ばれ、名前で買ってもらえる。そんなブランド牛を作りたい。
「ブランド牛を育てていきたいですね。ここのお肉が食べたい!と、名前で買ってもらえるような。」
そう話すのはドリームファームの鈴木。
畜産・農業部門で、牛の肥育を担当している。
鈴木はドリームファームの牛を、山形牛や米沢牛のように名前で呼ばれ、名前で買ってもらえるようなブランド牛にすべく取り組んでいる真っ最中。
そのためにこだわっているのが “牛の形” だ。
「いい形をした牛は、肉質も脂の質もいいんです。自分の理想とする形そのままに、牛を育てたいんですよね」
牛の形は美味しさのバロメーター。鈴木の理想は肩からお尻までまんべんなくお肉のついた、寸胴のような形だ。
毎年仕入れる10ヶ月の子牛の1頭1頭に理想の形を思い描き、それに近づけていく。
理想の形を作るカギは毎日の観察と、気付きにある。
STORY02 近道はない
観察と気付き。日々の積み重ねで前に進む。
理想の形に近道はない。
牛の体は日々の積み重ねが作る。
「牛の体は毎日の食事で作られるんです。しっかり食べていないと理想の形にはなりません。しっかり食べてもらうには牛の健康を保つことがとても大事なんです。」
牛の健康を保つ上で、鈴木が大事にしていることは二つある。
一つ目が、牛が気持ちよく過ごせる環境を作ること。
牛舎の環境を整え、ブラッシングで牛のストレスを和らげ、いじめられている牛がいれば鈴木が面倒を見る。
「とにかく牛が安心して、気持ちよく過ごせるようにしています。住んでいる環境が悪いと怪我が多くなりますし、体調も崩しやすいんです。ストレスが溜まればケンカも起きますから。」
二つ目が、牛をよく観察すること。
日々の観察を元に、エサの量や種類を調節する。
「お腹が減っているのか、それともお腹が重そうなのか、表情や行動を見れば大体わかります。牛は喋れないですからね(笑)。私たちが察してあげないとダメなんです」
そう語る鈴木の手の甲には、ボールペンで直接、牛の情報がびっしりと書き込まれている。牛の体調や気付いたことを、仲間としっかり共有するためだ。
「うちは他の牛舎さんと比べて一人で見る牛の数が少ないんです。だから細かいところまで目が届きやすいですし、情報も共有しやすい。大きな牛舎ではありませんが、ブランド化を目指す上で、そこは強みだと思っています。」
日々の細かい気配りや観察、気付きの積み重ねが、美味しいお肉、ひいてはブランド牛に通じていく。
STORY03 信頼を得るために
信頼がなければブランドではない
鈴木の目標は前述の通り「名前で買ってもらえるブランド牛」を作ること。
そのためには美味しいお肉を作るだけでなく、それを安定して生産し続けることが必要だ。食べるたびに味がバラついていては、消費者の信頼を得られない。
信頼がなければ、ブランドではない。
「いい形の牛、美味しいお肉ができても、それを安定して生産し続けるというのはすごく難しいんです。牛も自然環境も毎日違うので、それにしっかりと対応しなくてはいけません。とにかく観察して、観察して、観察して…という感じです。」
常に変化している自然や動物を相手に、品質を安定させるのは簡単なことではない。 だが、鈴木がやりがいを感じてるのは、むしろそんなところにある。
「自然と生き物が相手なので大変ですし、思い通りにいかないことが多いです。でもそこが楽しいですね」
「それに、自分が作ったものを美味しい!って言って食べてもらえるのって、単純に嬉しいじゃないですか。美味しいものを作り続けて、あそこのお肉は間違いない!と言われるようになりたいですね。」